04 知らないと損する?収支計画書の正しい見方
04 知らないと損する?収支計画書の正しい見方
正しい見積書と収支計画書の見方
築業者が決まったら、次のステップは「見積り」と「収支計画」の依頼です。
オーナー様ご自身の考えているアパートのプランやご予算を、できるだけ具体的に伝えることが大切です。
そのうえで、建築業者から提案を受けていきましょう。
アパート経営は、前にもお伝えしたとおり、長期にわたる事業です。
見積りの金額については、単に「安ければいい」という視点だけで判断せず、建物の耐久性、メンテナンスのしやすさ、将来的な維持費なども含めて、トータルで検討することが重要です。
注意が必要なのは、業者によっては、表向きの見積りを安く見せるために、本来必要な費用をあえて含めずに提示してくるケースがあることです。
こうした場合、契約後に「これは別途費用です」として追加請求されることがあり、最終的な負担が想定以上になることも。
ですので、見積書を受け取ったら、「このほかに必要な費用はありますか?」と必ず確認することをおすすめします。
事前にしっかり確認することで、後からのトラブルや想定外の出費を防ぐことができます。
また、収支計画書にも注意が必要です。
見た目には良く見える計画書でも、メンテナンス費用が含まれていないことがあります。
こうした収支シミュレーションは、実際の運営にかかる費用とかけ離れてしまう場合があるため、内容をしっかり確認することが大切です。
それではここから、収支計画書を見る際に押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。
ポイント1:
「10年後、家賃はどうなる?将来の収入も忘れずにチェック」
家賃収入は、建てた直後がピークとは限りません。築年数が経つにつれて、家賃が下がることも想定しておくことが大切です。
とくに10年目以降は、設備の劣化や周辺環境の変化により、家賃の見直しが必要になるケースも出てきます。
見積書や収支計画書を見るときは、「10年後の収入はどれくらいを見込んでいるか」に注目してみましょう。楽観的すぎる見積もりではなく、現実的な収入予測が反映されているかが、長く安定した経営のカギになります。空室のリスクが見込まれているかも確認しましょう。
ポイント2:
「15〜20年目の“大規模修繕”、ちゃんと計画に入っていますか?」
アパート経営では、15〜20年目あたりに外壁や屋根、防水などの大規模な修繕工事が必要になることが一般的です。
このタイミングで多額の出費が発生するため、あらかじめその費用を見越した計画になっているかどうかは、とても重要なポイントです。
収支計画書の中に、定期的な修繕費の積み立てや予算がきちんと組み込まれているかを必ず確認しましょう。将来の大きな出費を見落としてしまうと、せっかくのアパート経営が思わぬ負担になってしまうこともあります。
ポイント3:
数字の裏に潜むリスクを見逃さないために
アパート経営は長期にわたるため、金利の上昇や景気の変動(インフレ・デフレ)などの外的要因に強い影響を受けます。にもかかわらず、そうしたリスクをまったく考慮していない収支計画書も見かけます。
こうした計画書は、表面上の利回りが高く見えるため、一見魅力的に感じるかもしれません。しかし実際には、将来的に必要になるはずの数字がきちんと盛り込まれていないケースがあるのです。
とくに注意したいのは、収入や支出の数字が不自然に低く設定されている場合や、返済額が“常に一定”とされている場合です。
そのような設定になっている理由を必ず確認しましょう。
見落とされがちな「金利の変動」や「物価の変化」が、実際の経営にどう影響するのかを意識しておくことが大切です。
収支計画書を見るときは、「都合のいい数字になっていないか?」という視点で、冷静にチェックすることが安定した経営への近道です。